2017年5月21日日曜日

久石譲&ミーシャ·マイスキー@國家音樂廳



中正記念堂の敷地内にある台北のナショナル・コンサート・ホールは、ローズウッドの壁にデコラティブな天井のガラスなど、品のよいシノワテイストただよい、非日常を感じさせてくれる好きな場所のひとつです。

この晩ご一緒したのは、台湾なでしこ会(※)の大先輩で呑み友達のF・Yちゃん。
人気の手づくり石鹸教室「Plumeria soap」の経営者として活躍している彼女、じつはかの久石譲氏の姪っ子さんということもあって、久石氏のコンサートにお誘い頂きました。

パンフレットの氏の写真をじっくり見ていると、ちょっとした表情とか目から鼻筋・頬にかけてのバランスなど姪っ子のYちゃんとそっくりで、血の繋がりってすごいな〜と思いました。
ジブリ·ワールドに無くてはならない音楽家として有名すぎる久石譲氏ですが、今回のコンサート·プログラムではジブリ音楽だけではない、多才かつ多様な久石譲世界を味わう事ができ、ナショナルシンフォニーオーケストラの演奏もその要求に応え、あっという間に過ぎた2時間半。

一曲目はエッシャーの絵をイメージして作られた久石譲作「encounter」より。
変拍子が複雑に連なりあいながら滑らかに変化していくそのさまは、フィリップ·グラスなどの影響を受けた現代音楽家である久石譲の本領発揮という感じでとても楽しい。
実際、台湾ではその名前を冠したマンションが出来ていたほど人気のある氏だが、実はご本名を藤澤守さんとおっしゃり、藤澤守名義の「はじめ人間ギャートルズ」でデビュー、その後「愛のコリーダ」で有名なクインシー・ジョーンズをモジッて、きゅういし·じょー→久石譲という芸名になったと知る人は少ないだろう。
などと偉そうに言ってるわたしもむかし、敬愛するロック漫筆家·安田謙一兄さんのラジオ番組「夜のピンチヒッター」でそれをしった。そのとき流れた久石譲氏の作ったタコ八郎のテーマソングは、それまで持っていたわたしの久石譲氏へのジブリ的固定観念を覆すものだった。久石譲さん、じつは結構パンクです。
そう思って改めてジブリを観れば、ナウシカの「ランランラララン」やインド音楽やラピュタの洞窟のシーンなど、ジブリの中にもこっそりソッチ系久石譲テイストは散りばめられているので要注意。

さて、特に素晴らしかったのが二曲目、ドヴォルザークのチェロ協奏曲より。
ミーシャ·マイスキーは、クラシックマニアの夫の影響で家で聴く事も度々あったけれど、生で聴くミーシャの音は芳醇で、長年熟成させた希少なブランディを呑んでいるかのよう。
イギリスの乾いた草原に吹く風のようなミーシャのチェロの深い音、そこに岩清水の如くほとばしり出るフルートの音色。
寄せては返す波、湖面に落ちた雨粒の広がり、小川のせせらぎ。1800年代に西洋で生まれた曲にも関わらず、自然の隅々に宿る「瞬間の永遠」を感じさせてくれ、そこには東洋的な「わびさび」もあり、まさにミニマリスト·久石譲の真骨頂を味わった気がしました。
最後の「魔女の宅急便」のテーマソングには、やっぱりもうこれは身体が反応。色んな楽団が演奏しているのを聞いた事はあるけど、ここで聞いた「うわー本物や」感はすごい。

得難い時間をご一緒させてくれた麗しきYちゃんに心からの感謝を。

※なでしこ会・・・日本人で台湾人に嫁ぎ台北周辺に住んでいる嫁の会で、もう35年続いている


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