2017年5月28日日曜日

【日本映画】ママ、ごはんまだ?


主人公の一青妙さんのお母さんは、台湾人に嫁いだ日本人。
つまり、わたしの大先輩に当たるわけで、台湾に来て間もないころに、夫と家族が大げんかしている内容が全く飲み込めずひたすら不安だった頃の気持ちが蘇り、胸がしめつけられるようでした。
そんな中で言葉をおぼえ料理をおぼえて居場所を作っていった一青さんのお母さんにじぶんを、「日本人か台湾人か」で揺れた妙さんに、我が子のこれからを重ねあわせずにはいられない2時間。
一つ言えるのは、お母さんは台湾での生活やご主人の顔さんのことを大事に思っていたのだろうな、そして何より台湾のごはんが好きだったのだろうな、ということ。
もしそれが嫌な思い出であったなら、日本に帰ってからも台湾料理を作りつづけることは苦痛でしかないわけで。

お母さんが亡くなったあと、長いあいだ閉めきっていた実家のドアをあけ、その中の金庫を開け、押入れのなかにみつけた箱を開ける妙さん。
入れ子状になった「わたしの箱子」を開けつづけ、ルーツを辿りじぶんを見つけていく過程は、玉手箱をあけてじぶんの真実の年齢の姿をとりもどす浦島太郎をおもわせる。
かつてはなんて残酷な話だろうと思っていた浦島太郎の昔話だけれど、40歳を過ぎたあたりから、なんて救いのあるはなしだろうと思うようになった。
何故なら、じぶんらしく居られないことが、なにより残酷な状況であることを身をもって知ったからだ。

美味しい豚足とチマキ、明日買いに行こうっと。

【台湾ドキュメンタリー映画】擬音~台湾の音と魔術師。


「Taisuki Cafe」さんでの連載コラム「スクリーン越し台湾通信」にて、先日観てよかったドキュメンタリー映画「擬音」について執筆しました。
しられざる映画製作の裏方、フォーリー・アーティスト。ご一読いただけると嬉しいです。

【台湾ドキュメンタリー】擬音:台湾の音と魔術師。

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「黒澤明や今村昌平という巨匠たちの作品を支えてきた大御所の録音技師・Bさんの現場で何とも緊張感があったが、それまで映画の音がどのような人によって、どんな風につけられているのか全く知らなかったわたしにとって、これらフォーリーを含むサウンドデザインの現場に関わった経験は鮮烈だった。」
「職人的ということは、創造も含めて仕事が生活そのものなのである。わたしたちが映画を評価するときには、脚本や演出や芝居ということの創造性に重きを置きがちである。だが同時に、映画とは多くのクリエイティビティーを集めて作った総合芸術だということを、改めてこのフォーリーのドキュメンタリーは教えてくれる。」

2017年5月21日日曜日

久石譲&ミーシャ·マイスキー@國家音樂廳



中正記念堂の敷地内にある台北のナショナル・コンサート・ホールは、ローズウッドの壁にデコラティブな天井のガラスなど、品のよいシノワテイストただよい、非日常を感じさせてくれる好きな場所のひとつです。

この晩ご一緒したのは、台湾なでしこ会(※)の大先輩で呑み友達のF・Yちゃん。
人気の手づくり石鹸教室「Plumeria soap」の経営者として活躍している彼女、じつはかの久石譲氏の姪っ子さんということもあって、久石氏のコンサートにお誘い頂きました。

パンフレットの氏の写真をじっくり見ていると、ちょっとした表情とか目から鼻筋・頬にかけてのバランスなど姪っ子のYちゃんとそっくりで、血の繋がりってすごいな〜と思いました。
ジブリ·ワールドに無くてはならない音楽家として有名すぎる久石譲氏ですが、今回のコンサート·プログラムではジブリ音楽だけではない、多才かつ多様な久石譲世界を味わう事ができ、ナショナルシンフォニーオーケストラの演奏もその要求に応え、あっという間に過ぎた2時間半。

一曲目はエッシャーの絵をイメージして作られた久石譲作「encounter」より。
変拍子が複雑に連なりあいながら滑らかに変化していくそのさまは、フィリップ·グラスなどの影響を受けた現代音楽家である久石譲の本領発揮という感じでとても楽しい。
実際、台湾ではその名前を冠したマンションが出来ていたほど人気のある氏だが、実はご本名を藤澤守さんとおっしゃり、藤澤守名義の「はじめ人間ギャートルズ」でデビュー、その後「愛のコリーダ」で有名なクインシー・ジョーンズをモジッて、きゅういし·じょー→久石譲という芸名になったと知る人は少ないだろう。
などと偉そうに言ってるわたしもむかし、敬愛するロック漫筆家·安田謙一兄さんのラジオ番組「夜のピンチヒッター」でそれをしった。そのとき流れた久石譲氏の作ったタコ八郎のテーマソングは、それまで持っていたわたしの久石譲氏へのジブリ的固定観念を覆すものだった。久石譲さん、じつは結構パンクです。
そう思って改めてジブリを観れば、ナウシカの「ランランラララン」やインド音楽やラピュタの洞窟のシーンなど、ジブリの中にもこっそりソッチ系久石譲テイストは散りばめられているので要注意。

さて、特に素晴らしかったのが二曲目、ドヴォルザークのチェロ協奏曲より。
ミーシャ·マイスキーは、クラシックマニアの夫の影響で家で聴く事も度々あったけれど、生で聴くミーシャの音は芳醇で、長年熟成させた希少なブランディを呑んでいるかのよう。
イギリスの乾いた草原に吹く風のようなミーシャのチェロの深い音、そこに岩清水の如くほとばしり出るフルートの音色。
寄せては返す波、湖面に落ちた雨粒の広がり、小川のせせらぎ。1800年代に西洋で生まれた曲にも関わらず、自然の隅々に宿る「瞬間の永遠」を感じさせてくれ、そこには東洋的な「わびさび」もあり、まさにミニマリスト·久石譲の真骨頂を味わった気がしました。
最後の「魔女の宅急便」のテーマソングには、やっぱりもうこれは身体が反応。色んな楽団が演奏しているのを聞いた事はあるけど、ここで聞いた「うわー本物や」感はすごい。

得難い時間をご一緒させてくれた麗しきYちゃんに心からの感謝を。

※なでしこ会・・・日本人で台湾人に嫁ぎ台北周辺に住んでいる嫁の会で、もう35年続いている


2017年5月19日金曜日

【日本国内オンライン販売開始のお知らせ】


大阪のオンラインショップ「witte.」(ウィッテ)様にて、「台湾、Y字路さがし。」のオンライン販売が始まりました!!!
価格は2,000円(税別/送料別)です。
「witte.」(ウィッテ)は、わたしの母校である京都市立芸大の同窓生が始めたショップで、アクセサリーや陶磁器・オブジェなど、国内外で活躍するアーティスト/ブランドの素敵な商品を、数おおく取り扱っています。
じぶんへの、または大切な誰かへの特別なプレゼントが見つかるかもしれません。
どうぞ宜しくお願いします☆

【お仕事報告】『な~るほど·ザ·台湾』5月号





『な~るほど·ザ·台湾』5月号では、隔月で担当している連載コラム「台湾の街角」にて、龍山寺近くの「剥皮寮」で見つけた「無用階段」についてトマソンネタを書かせてもらってます。
剥皮寮?無用階段??トマソン???
という方、ぜひともご覧ください。
また、日本人学校レポートではお能の体験教室を取材。最近ちょくちょく日本人学校に取材で伺ってますが、イベント多くてホント楽しそう。ところで演目『土蜘蛛』を見ながら思ったのですが、おなじみのあの蜘蛛の糸、単なるリボンテープじゃなさそうだけど、あれを専門に作ってる業者さんが、いらっしゃったりするのでしょうか?

2017年5月18日木曜日

【お仕事報告】城南タイムス5月号


ひょんなご縁で、東京大田区の地域情報誌「城南タイムス」さんにて、台湾についてのコラムを書かせてもらいました。
タイトルは「酒と煙草と男と女。」
台湾における酒、煙草、男、女、それぞれの事情について書きました。
ところで大田区には殆ど足を踏み入れたことがないのですが、蒲田には昔撮影所もあったし、商店街とかもディープで何だか楽しそう。羽田にも近いし、今度いちどいってみたいと思います。


【中国映画】喜歡你~金城武、越来越喜歡你。

上海租界にある古いクラシックホテルで働く天才的シェフの周冬雨(去年の金馬奨で主演女優賞)が、ホテルを買収に来たドがつく大富豪でドがつく食いしん坊の金城武の胃袋をつかむ話。
「赤い薔薇ソースの伝説」ぐらいやれとは言わないが、食に性愛を暗喩させるならもちょっと破綻した部分があれば尚良とも思うけど、ヒロインの周冬雨の天真爛漫で危うい存在感が唯一そこを救っている。
ふぐの毒にあたって大雨が降る幻覚の中、二人が相合傘で上海の夜の街にさまようシーンが良くて、上海に行きたくなった。
料理で男の胃袋を掴んだとしても、風邪が治る如くふぐの毒が抜けるが如く恋は必ず覚めるので、覚めたあとは仕事としてでもなくパーフェクトな三度の食事を作り続けるのって大変な労苦じゃないかなーとすれっからしの頭で考えるバカボンのパパと同じ年のわたしは、むしろライバルシェフの志玲姐姐の立場に共感してしまうのでした。
それにしても金城武がますます面白いかんじの色男になっていて悶えたわ。
食いしん坊にはオススメの映画です。

【イベント報告】5/17 新富市場よりさがすY字路。



非常感謝「新富町文化市場」給我機會在市場裡面擺攤介紹「從新富市場尋找Y字路」的活動!
雖然今天的活動的告知宣傳其實都沒有,所以經過的客人都是日常買菜或要買食品的觀光客,但不少的客人給y字路的事情興趣,而且幾個客人把我的書買回去了!實在我沒想到在菜市場有人買書,所以超感動了。。。
另外,我平常很喜歡逛傳統市場,但以前都是為客人從移動看點的觀察,可是今天第一次得到了從定點觀察的菜市場風景,可以看得出來一個一個人的生活的樣子,真覺得很難得機會。
突然我覺得想寫「日本人看到的台北傳統市場的美麗風景」,有沒有出版社跟這個主題興趣?
追記:新富町文化市場路口的餅店女兒「靜」將做的「福州餅」很棒!

龍山寺近くの新富市場にて、日本時代の市場の建物(1935年完成)をリノベーションし文化スペースとしてこの3月に開幕した「新富町文化市場」。その入り口にある小さなスペースで、今日は新富市場付近のY字路を紹介するイベントを企画していただきました。
向こうは豚肉屋さんで豚の頭の皮や脚がぶら下げられ、向かいにはパンツが山と積まれた下着屋、右隣は福州餅を売っていて左隣は野菜屋さん、その野菜たちに紛れて並べられたY字路本、、、というなんとも楽し過ぎるゲリライベント。

前もっての告知や宣伝もないなか、生活用品や食料品を求めて来る通りすがりのお客さんや観光客の中で、突如現れた場違いな日本人のY字路本に興味を持ってもらえるか実はちょっと不安だったのですが、熱心に興味を持って話を聞いてくださったり、あまつさえ本を買って下さる方たちもいて、たった2時間ほどのイベントでしたが充実した時間となりました。地元のお婆ちゃん達との交流も楽しかったです。

何より、普段は買い物客として移動しながら観ている台湾伝統市場の風景を、逆の位置から定点観察で道行くお客さん達を眺めるというのは貴重な経験で、「台湾伝統市場」をテーマにした本を書いてみたくなりました。機会をくれた「新富町文化市場」の楊紋昌さんに心より感謝!
ちなみに右隣の餅屋の娘っこ「静」ちゃんの作る、お祖父ちゃん直伝の老麺(天然酵母)福州餅(ベーグルみたいなやつ)がすごーく美味しい。新富市場においでの際はぜひとも味わっていただきたいです。




新富町文化市場  
臺北市萬華區三水街70號  http://www.jutfoundation.org.tw/project/1/95